COLUMN 21

レガシー脱却だけじゃない、攻めのECシステム戦略とは

最終更新日 2025.06.27投稿日 2025.06.27

コラム21

INTRODUCTION :

近年、EC(電子商取引)市場は飛躍的な成長を続けており、それに伴い企業のシステム戦略も大きな転換期を迎えています。
従来の「レガシー脱却」は、システム刷新の第一ステップとして広く注目されてきました。
確かに、古いオンプレミス型のシステムや自社開発のカスタム基盤は、変化の早い市場に対応するには限界があります。
しかし、今の時代においては、それだけでは不十分です。
EC市場で真に競争力を持つためには、レガシーからの脱却に留まらない「攻めのECシステム戦略」が求められているのです。

レガシー脱却=ゴールではなく、スタートライン

多くの企業がレガシーシステムに苦しんでいます。古いプラットフォームは機能追加が難しく、外部サービスとの連携も一苦労。セキュリティリスクも無視できません。
このため、SaaS型のECプラットフォームやクラウドベースのモダンアーキテクチャへの移行が進んでいます。
しかし、単なる移行だけで「変革した」と思い込むのは危険です。
重要なのは、「なぜ変えるのか」「変えたあと、どう攻めるのか」という視点です。
企業がECをビジネスの中心に据えるのであれば、ECシステムは単なる業務基盤ではなく、成長を生み出す“武器”であるべきです。

攻めの戦略1:顧客体験を軸にしたシステム設計

まず、攻めのシステム戦略において中核となるのが「顧客体験(CX)」の最大化です。
たとえば、ユーザーの閲覧履歴や購入履歴をもとにしたレコメンデーション、チャットボットによる24時間サポート、モバイルファーストなUI設計など、全てが顧客満足度を高める要素となります。
その実現には、リアルタイムにデータを収集・分析・反映できるシステムが不可欠です。
これには、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)やMA(マーケティングオートメーション)との連携も求められます。
言い換えれば、システムは“内向き”の効率化ツールから、“外向き”の体験創出装置へと進化しなければならないのです。

攻めの戦略2:スピードと柔軟性を備えたアーキテクチャ

今日のECビジネスでは、変化に即応できるスピード感が鍵を握ります。
キャンペーンの実施、新商品の投入、サイト構成の変更などを自社のペースで素早く行えるかどうかが、機会損失を防ぎ、売上を左右します。
このとき、重要なのが「柔軟なアーキテクチャ」です。ヘッドレスコマースやマイクロサービスを採用することで、フロントエンドとバックエンドを分離し、必要な機能だけを迅速に開発・更新できます。
また、APIを活用して決済・在庫・物流・CRMなどの外部サービスとシームレスに統合することで、全体の最適化が図れます。
たとえば、ある化粧品メーカーでは、ヘッドレスECを採用したことで、マーケティング部門がエンジニアに頼らずキャンペーンページを自作できるようになり、月次の施策数が2倍に増加しました。
これは、柔軟なシステム設計がビジネスを加速させる好例です。

攻めの戦略3:データドリブンな意思決定

もう一つの柱が、「データ活用による意思決定の高度化」です。
ECの強みは、すべての行動がデータとして記録される点にあります。
PV数、CTR、カゴ落ち率、購入単価、リピート率など、多様な指標をもとにPDCAを高速で回せるかどうかが、競争優位を分けます。
そのためには、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールやダッシュボードを通じて、経営層やマーケターがリアルタイムでインサイトを得られる環境が必要です。
現場の直感だけでなく、データに裏打ちされた施策を展開することが、ECの成長に直結します。

攻めと守りのバランス

もちろん、攻めの姿勢ばかりを追求してシステムが不安定になったり、セキュリティが軽視されたりしては本末転倒です。
拡張性と安全性、俊敏性と信頼性。このバランスをどう取るかも、経営判断の一環として問われます。
その意味で、攻めのシステム戦略とは「勢い任せの導入」ではなく、ビジョンに基づいた設計と、段階的な実行プランの策定が必要です。
初期はコア機能に集中し、将来的なスケーラビリティを確保する設計思想を持つことが、成功への近道です。

経営とシステムを切り離さない視点

最後に、これからの時代におけるECシステムの役割は、IT部門だけのものではなくなっています。
経営戦略、ブランド戦略、顧客戦略――これらとシステムがどのように結びついているのかを、経営者自らが理解し、関与することが不可欠です。
ECシステムは単なる「販売の場」ではなく、「企業の成長エンジン」です。
だからこそ、「レガシー脱却」という守りの一手から、「攻め」の体制を整えることが、これからの企業に求められる本質的なDXだと言えるのです。

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